国語の遊び授業⑤万葉仮名
文字史。万葉仮名。
文字の歴史は奥が深い。万葉集における漢字表記を学ぶことで、その後のカタカナ・ひらがなの成立の理解がスムーズになる。
正訓字と音仮名について事前に少しでも学習していることが前提となる。
生徒には、まず、この表を配る。
そして、古代上代における音仮名表記を実践させる。
まずは自分の名前や家族の名前、担任の先生の名前などを書かせる。
それから何でも良いので文章を書かせる。(今日会った楽しかったことや最近のイベントなど何を書かせてもよい)
(※授業では、実践しなかったが、今から思うと、同内容で訓字表記もさせてみると両表記の差異をより実感できるかもしれない。)
しばらくは頑張って書いている。
ある程度書き終わった段階で、「実際に書いてみてどうでしたか?書きやすかったですか?」と発問する。と、「書きにくい」と返ってくるはず。
そこで「書きにくい」と返ってくると、狙いの達成。
表音文字だけでは、音は確実に伝えられるが、長ったらしく、字面としてもわかりにくい。反対に、表意文字だけでは、ぱっと見の字面としてわかりよい一方、細かなニュアンスを伝えられない。
(※太安万侶『古事記』の序文を配っても良い。「すでに訓に因りて述べたるは、詞、心に逮ばず。全く音を以て連ねたるは、事の趣更に長し」太安万侶の言いたいことが実感できるはず。)
そこで、使用頻度の高い助詞助動詞(例えば「者(は)」など)といったことばなどが、ひらがな・かたかなに移行しやすかった、という点にも触れたい。
文字史の学習という意味では、中学1年生には非常に難しい内容であるかと思う。
ただ、理解はできずとも、小さいうちに一度くらいは、このような古代の表記法を実践しておくことは有益だと思う。音仮名表記は、ただのゲームとして遊ぶ分にはそこそこ楽しくやれる内容であるが、その煩わしさを知ることこそがまさに文字の歴史をたどっているということにほんの少しでも気づいてもらえれば十分か。